「どうだ、空しいか?」

久しぶりにコトが成って、氷河は上機嫌だった。
返事もできないほどに息を荒げている瞬に、彼は隠しきれない笑顔でもって尋ねた。

「返事は?」
「だめ、待って、今は……」

瞬は、それだけ答えるのが精一杯である。

いつもならシーツの上で静める荒い息を、瞬は今夜は氷河の肩にもたれて静めることになった。

瞬の息が落ち着いた頃には、もう氷河は同じ問いを繰り返そうとは思わなかった。

「祭りは何度あっても楽しいし──何度だってあるさ」

「……それが一度だけの祭りなら、なおのこと、楽しまなくちゃね」
「その通りだ」

それは、ただ一度だけの生を楽しむ術を手に入れた余裕を持つ者だけが得ることのできる答えだったかもしれない。






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