が――。 十二分に知っているはずの氷河は、それだけでは満足できなかったらしい。 彼は、平和な新年の寿ぎを、言葉だけではなく身体でまで享受しようと企んで、瞬の肩を抱き寄せようとした。 そこに、 「氷河、おまえの元気な顔も見たし、長居も何だから、私はそろそろ聖域に帰ろうと思うのだが――」 「氷河っ! 貴様の師とやらは、俺が楽しみにしていた伊達巻きを全部ひとりで平らげやがっ――」 手土産にもらったらしい栗きんとんのパックを抱えたカミュと、祝い箸を握りしめた一輝が乱入してきたのである。 後は、お約束通りの展開だった。 「氷河ーっっ !! 私は、おまえを、昼間からそんなことをするような子に育てた覚えはないぞーっっ !! 」 「瞬ーっ !! 俺は、おまえを、昼間からそんなことをするような子に育てた覚えはないぞーっっ !! 」 ラウンジに乱入してきた二人がそれぞれ、技の名を叫ぶ代わりに弟子と弟を咎める言葉を絶叫する。 そして、なぜか二人は二人共、氷河一人に向かって攻撃を仕掛けてきたのである。 カミュの凍気と一輝の炎とが混じり合い、次の瞬間、城戸邸のラウンジには、ドライアイスに水をぶちまけたような白煙があふれかえっていた。 |