しかし、ソレントは、早速その日のうちに、その場面に出くわしてしまったのである。
アテナの聖闘士たちの会話についていけなくなったソレントが、ラウンジから廊下に出た途端、向かいの客間のドアの隙間から、それは洩れ聞こえてきた。

「ん……だめだってば、氷河……」

不審に思ったソレントが中を覗くと、あろうことか、部屋の中央に置いてある長椅子の上で、氷河と瞬が、文字通り絡み合っていたのである。

「もう……どうして、氷河はいつもこんなに急なの……あんっ」
瞬の抗議が聞こえているのかいないのか、氷河はもくもくとその行為に励んでいるようだった。
氷河の背にまわされた瞬の手が、そのシャツを拳で握りしめている。

「だめだってば……! 人が来たら……ん……んっ!」

拒んでいた瞬の声が、徐々に喘ぎ声に変わっていく。
それが、間歇的な忍び音の連続になり、その声に合わせて、瞬の白く細い脚が揺れているのが、氷河の背中越しに垣間見えた。

「……!」

この場所を立ち去らなければならないと思いつつ、ソレントは、どうしてもその場から動くことができなかったのである。


やがて、瞬の小さな悲鳴が室内に響く。
氷河が動くのをやめて、どうやら彼のマーキングは完了したらしかった。






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