氷河は結局、警視総監にルドルフ皇太子の捜索を指示した。
だが、ラリッシュ公爵夫人の訴えから2日後の1月30日、ルドルフ皇太子は、マイヤーリンクの館で、物言わぬ姿になって発見されることになった。
拳銃による、マリー・ヴェッツエラ男爵令嬢との無理心中――というのが、警視総監クラウス男爵の報告だった。
皇太子は、姉妹や友人、仲違いしていた妻にさえ遺書を残していたが、父である皇帝にだけは何も残していなかった。
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