それが、瞬の答えで、氷河の答えでもあった。
二人が真に望むことは、二人で生きることで、他には何もない。
氷河は、瞬の不吉な白い装束を普段着に着替えさせ、夜陰に紛れて、藩主に与えられた下屋敷を抜け出ようとした。

二人が屋敷の門を出ようとした時、瞬の手を掴む者がいた。
この屋敷に、なぜか配置されていた例の氷河の同僚だった。
無言で刀を抜こうとした氷河を牽制して、彼は、掴んだ腕ごと、瞬の身体を自身の方に引き寄せ、氷河に言った。

「大人しく刀を捨ててくれ。この子の綺麗な顔に傷なんかつけたくないだろう?」
それは、氷河への脅迫としては最も効果的な言葉だった。

「悪いな。こんなこともあるだろうから、二人から目を離すなと、殿から厳命を受けていたんだ」
すまなそうな目をして、彼は氷河に頭を下げた。






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