『30代になった氷河と瞬』 「できれば氷河から瞬にプロポーズの言葉を言ってもらいたいです。今は同性同士で結婚できる国もあるんですよね? 実際に結婚するかしないかは、どちらでもいいのですが」 とのことでした。 ミルーシャさん、リクエストどうもありがとうございます! ――と、勢いよく お礼を言った直後に非常に心苦しいのですが、今回の話、メインのお題はクリアできておりますが(かな?)、『プロポーズ→結婚』のご希望の方はクリアできておりません。 大変 申し訳ありません。 いや、何と申しますか、ウチの氷河と瞬は、それでもやっぱり男同士なので、『求婚・結婚』という行為を是とすると、同性同士のカップルである氷河×瞬を否定することになってしまうので……。 ギャグや悪乗り・悪ふざけでだったら かろうじて書けるかもしれないとも思ったのですが、『30代になった氷河と瞬』というメインのお題で思いついていた話が わりと真面目なネタだったため、どうしてもミルーシャさんのご希望を組み入れることができませんでした。 本当にお詫びのしようもありません。 それだけならまだしも(――と、まだまだ お詫びは続くのです)。 私は、氷河に関してなら、60代でも80代でも萌えられる自信がありますが、瞬に関しては、10代の外見がいい――という、超我儘なファン。 なので、一応、今回の話の中では 氷河も瞬も30代ということになっていますが、瞬の見かけは『実年齢より異様に若い』という設定になっています。 これまた大変 申し訳ありません。 でも、二人が30代でないと成立し得ない話にはなっておりますので、それでどうかご容赦くださいませ。 うーん……。 こんなふうに色々 ご希望をいただいておきながら、私の我儘・好みの問題で なかなかそのご希望に添えないというのは、私が普通の(?)氷瞬ファンな方々が望むような話を書けていない――ということなのだと思います。 やっぱり普通の氷瞬ファンな方々は、瞬ちゃんが氷河に溺愛されていて、プロポーズ→結婚というような、男女間でなら 普通の(?)展開を期待していらっしゃるのでしょうか。 氷瞬は、昔から少女マンガカップルになぞらえられることが多かったカップリングですし、そういう設定・ストーリーをお望みの方が(おそらく)多数派なのであろう――と拝察します。 「私は 普通の女の子より女らしい瞬を書いている」という自覚は、私の中にも(一応)ちゃんとあるのですが、「それでも、私の書く瞬は男子である」という信念も、私の中には(実は)厳然と存在するのです。 『プロポーズ→結婚』とか『氷河にどうしようもないくらい愛されている瞬ちゃんのお話が好きです(=読みたいです) 』とか(←こちらもミルーシャさんからいただいていた ご希望です)、そういうご希望に添えない私は、氷瞬ファンとしても 氷瞬ものかきとしても異端なのかもしれません。 私は、もちろん、できるだけ多くの方に自分の書いた氷瞬話を受け入れてもらいたいと願っていますが、たとえ人に受け入れてもらうためにでも曲げられないポリシー(のようなもの)はあるわけでございまして。 要するに、書けないものは書けないというだけのことだったりするのですが、自分の力不足とマイナー志向が悔しくもあり、悲しくもあり。 ああ、季節は、切なく物思う秋でございます……。 ちなみに、今回の話は、タイトルで既にお察しの方もおいでかと思いますが、『氷河と瞬』というより、ミケランジェロがメインの話です。 彼のピエタがモチーフになっています。 ミケランジェロといえば、ルネサンス三大巨匠の一人。 実は私、ルネサンス三大巨匠の中ではレオナルドがいちばん好きでした。 ラファエロは、絵柄が甘すぎて、そもそも作品が 今ひとつ好みではない。 ミケランジェロは、作品は滅茶苦茶好きなんですけど、当人の我慢を知らない攻撃的性格と、ラファエロとは真逆の世渡りのへたさが、あまりに芸術家らしすぎて つらい。 まあ、それで言ったら、レオナルドも、契約を交わしておきながら作品を完成させない無責任さを、『人としてどうか』と思わないでもないんですけども。 今は、レオナルドとミケランジェロを同じくらい好き……かな。 『好き』の内容は少々異なっていますけども。 しかし、天才たちに向かって、好きなことを言ってます、私。 ↑ こんな調子で、作品中でも、天才たちや聖書に関して好き勝手な解釈を加えていますが、そのあたりは適当に読み流してやってください。 天才たちや聖書ですらも、私にとっては萌えの種――というだけのことだったりしますのです。 (さすがに、コーランでそれをする度胸はないですが) うん。 それで、ミケランジェロ。 サン・ピエトロ大聖堂のピエタの美しさについては、今さら私ごときが言及する必要もないでしょうけれど、上記リンク先にもあります『ロンダニーニのピエタ』が泣けるのですよね……。 死を間近にし、視力を失いながら、それでもマリアとイエスを彫り続ける天才ミケランジェロ。 聴力を失いながら曲を作り続ける不滅の楽聖べートーヴェンのごとし。 (二人共 生涯独身を通し、美形じゃなかったとこも似てますね) ピエタ話は、いつか書いてみたいと、実はもうずっと長いこと思い続けていたネタです。 1995年に出した本のあとがきに そんなことを書いていましたから(←本を引っ張り出してきて調べた)、少なくとも14年以上『書きたい』と思い続けていたことになります。 でも、氷河×瞬にどう絡めればいいのかを思いつけずにこれまできたのですね。 ピエタときたら、やっぱり『マーマ+氷河』という固定観念のようなものがあったので、今回の話のような料理方法は、ミルーシャさんから お題をいただかなかったら 永遠に思いつくことはなかったと思います。 ミルーシャさんには感謝の言葉もありません。 どう考えても、ミルーシャさんのご希望には添っておらず、むしろ『反している』と言った方が適切な話になってしまいましたけれど、私自身は、念願が叶って かなりすっきりしました。 (私がすっきりしてどーするのだ;) ミルーシャさん、リクエスト どうもありがとうございました! そして、本当に本当に申し訳ありません。 |