氷河の手から解放されると、まるで逃げるようにして、瞬は自分の部屋に駆け戻った。 ベッドにうつ伏せに倒れ込み、氷河の前では押し殺していた声を、今度はシーツに吐き出すようにして呻く。 身体の芯が熱を持って疼き、それが苦しくて仕方がなかった。 (どうしよう……。僕、変だ。僕、どこがおかしいの。発育不良って、僕のおかしいとこはどこなの……ああ、僕、もう……!) たった今、悪夢から逃れるように立ち去ってきたばかりだというのに、瞬の心と身体は、すぐにでも氷河の許に戻りたいと、瞬に訴えていた。悲鳴をあげていた。 氷河にもう一度、抱きしめてもらいたかった。 もう一度触れてほしくてたまらなかった。 そんな自分を落ち着かせようとして、瞬は自分で自分の肩を抱きしめてみたのだが、それは、 氷河の胸の中にいる時とは全く違う冷たさを運んでくるだけのものだった。 氷河に触れられている時の、あの高揚した気持ちにはなれない。 だが、もう一度、もしかしたら──氷河がしたようにしてみればいいのかもしれないと考えて、瞬は自分の手を、氷河が触れていた場所に伸ばしてみた。 触れた途端に、背筋を冷たいものが走る。 なぜか、自分の手で氷河がしたことをするのはいけないことのような気がして、瞬は慌てて自分の手をそこから離した。 代わりに、もう一度自分の肩を抱きしめて、身体をできるだけ丸くする。 半ば以上泣きながら、瞬は必死に氷河の手の感触を忘れようとした。 懸命に眠ろうと努めながら、瞬は、いつまでも疼き続ける自身の身体に身悶え続けた。 |