氷河に触れられていないと、身体の疼きも少しは静まるような気がした。
ゆったりとしたパジャマに着替えると、その部分の痛みも幾分かは和らぐ。

しかし、ほてる身体をシーツの上に横たえ、瞼を閉じた途端に、氷河の手の感触が瞬の身体の上に鮮明に蘇ってきた。
氷河と同じことを自分でしたらどうなるのかという気持ちが、昨夜以上に強まり、だが、自分で触れてはいけないという氷河の言葉が、瞬を制止する。

「ああ……っ!」
自分の手で触れてはいけないということはわかっている。
氷河にそう言われる前から、それはいけないことなのだという気持ちが瞬の中にはあった。
だが、触れずにいることに耐えられない。
瞬は、無意識のうちに、自身の悶える身体をシーツに擦りつけていた。

けれど、それもやはりしてはいけないことのような気がして、瞬は必死に自分自身をなだめ、叱咤した。
氷河に触れられていないことが、苦しくてならなかった。
「いや……氷河、助けて……」

麻薬や覚醒剤の薬物依存治療プログラムというものが、こういう苦しみを伴うものなのかもしれない。
これは普通でない・・・・・自分の身体を治すために、当然耐え抜かなければならない苦痛なのだと思うことで、瞬は必死に、身体の中で荒れ狂う熱狂を抑えつけた。





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