氷河は憤っていた。 瞬の欲しているものが自分自身でないことに、ひどく。 しかし、瞬はそれには気付かず、ただ苦しげに喘ぎ、腰を動かして、ちょうだい、ちょうだいと、同じ言葉を繰り返すだけである。 それでも氷河は、一瞬間ためらったのである。 だが、その時、氷河を支配していたものは、何よりも、彼自身が瞬に無視されているという事実だった。 瞬がベッドに横たわった時に引き剥いで、床に投げ捨てた瞬のパジャマを、氷河は拾いあげた。 自分の2本の指を綿のパジャマの裾で覆い、それを瞬の中に、勢いをつけて一気に突き立てる。 「ひ……っ!」 なめらかとは言い難い綿の感触が、瞬の内壁を痛いほどに──おそらく──擦りあげる。 「あああああっ !! 」 瞬の悲鳴には委細構わず、氷河はそのまま、瞬の中をめちゃめちゃにかき回した。 ──それが、瞬にもたらしたものが何なのか、氷河は知らない。 身体を大きく弓なりに反らせ、気が狂ったように腰を動かしていた瞬は、やがて、絶頂に達した女のように気を失った。 |