闘いは、ほとんど小宇宙そのものの攻防だった。

二人とも相対したままで、身体的な動きは全くない。

確かに今の氷河の力は、以前の彼のそれとは桁違いに強くなっていた。
しかし、アベルは全く涼しい顔で、その攻撃を受け止めている。
瞬は、先刻のアベルの言葉にも関わらず、自分の身は全く心配していなかった。
が、氷河の身についてまで、超然としてはいられなかったのである。

アベルの小宇宙に押されて、氷河の足許がふらつく。

「氷河っっ !! 」
瞬は叫んでいた。

そして、無意識の内に、その小宇宙を燃やす。

アベルの結界内で、封じられていたはずの瞬の小宇宙が、まるで銃が暴発するように渦巻いた。

(ど……どうして !? )

これまでどんなに足掻いても打ち消されていた小宇宙が、今は瞬の思い通りに操作できる。
本来あるべき状態に戻っただけだというのに、瞬は、その事実にひどく戸惑ったのである。








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