マンションを出てすぐに、俺は瞬の姿を見つけることができた。
瞬は、俺のマンションを出て、ひどく覚束ない足取りで、どこかに向かって歩いていた。
帰るべき巣を見失った小さな鳥のように。
やがて、小さな公園に辿り着き、その隅にあった緑地帯の木にもたれて、ぼんやりと虚空を見やり――。
俺は、俺が身仕舞いを整えているうちに、瞬は“そいつ”に電話で連絡を入れたのだと思っていた。
だが、そうではなかったらしい。
1時間近く、瞬は、凍りついたようにそこから動かなかった。
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