「側にいてくれ。俺をもう一度……」

アイシテクレ

「やだ……。僕、もう、やだ……。氷河は、一緒にいても、離れてても、僕を辛くさせるだけだ。僕、もう、こんな苦しいのはやだ。やだよ……!」

瞬の小さな掠れた悲鳴が、俺の胸を傷付ける。
瞬が俺に負わせる傷の、刺すような痛みと疼き。

だが、それが何だというんだ?
離れたところにいて、傷付けてももらえない虚無感に比べたら。


「……そうしたら……」

あの、空しい思いに比べたら――。

「今度は俺の心がおまえについていって、俺は死んだも同然になる。毎晩、夢の中でおまえが来てくれるのを待って、そして、一人で朝を迎えるんだ」

――そうか。
俺は、そんな夜と朝を、瞬に5年間も過ごさせてきたのか。



瞬は――瞬は、今にもその場に崩れ落ちてしまいそうだった。





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