氷河に会えない夜が続き、瞬は、日を追うごとに衰弱していった。
不安と困惑と懊悩が、現実の世界で生きていくための営みを、瞬にさせてくれなかったのである。

氷河に会えるのなら、胡軍の侵攻や戦いも仕方がない――。
自分は、そんなことを望んだ――少なくとも許容し、あるいは考えないようにした――罰を受けているのではないかと、瞬は思い始めていた。

瞬は、瞬に会うために都に向かうと告げた氷河を止めようとはしなかった。
その言葉の意味することがわかっていながら、瞬はただ氷河の腕の中で安穏と、氷河の訪れを待っていただけだった。
もし、本当に自分に氷河が必要で、戦いを厭うのなら、自分が王宮を出て氷河を捜しに行くべきだったのである。
戦いをやめさせるために胡人の中に入っていき、彼等を説得すべきだった。

だが、瞬は、何の行動も起こそうとしなかった。

瞬は、そんな自分を、今は後悔していた。





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