そして、俺は、肩を担がれて、そのまま部屋の外に連れ出された。

階下の洗面所に導かれ、俺はそのまま洗面台に顔を埋める。
後頭部に流れる水が心地よく、苦痛を和らげた。

蛇口からの水流がふいに止まる。
台から頭を上げる。 隣にいた――やはり紫龍だった――彼からタオルを受け取る。

流水でサッパリしたおかげか、感覚の鋭敏さが抜け、思考が少しハッキリしてきた。

「・・・悪い」
雨音が酷くて俺の部屋の中の異変など紫龍に判るはずがないのに、なぜ部屋に飛び込んで来れたのか、多少の疑問が残るが、素直に謝罪する。

「急逝アルコール中毒で自殺するつもりが無いのなら、謝罪などいらない……そこに替えの服がある、着替え終わったらラウンジに来てくれ。 少し話がある。」
彼は、抑揚のない声を残して、洗面所から出て行った。


しかたなく、濡れ汚れた衣服を着替え、ラウンジに向かう。








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