けたたましいサイレンの音に瞬と星矢は反射的に身を伏せた。
「おい、瞬。あれ、」
安全を知り、先に頭を上げた星矢が異変に気付いた。
駅のある一帯が土煙にさえぎられていてよく見えない。
人の多いところが狙い撃ちされたようだった。
「氷河が!」
言うが早いか瞬は走り出していた。
背後で星矢が何か言っていたが結局聞き取ることはできなかった。

駅前まで来た瞬は構内から避難してくる人々を必死で見ていた。
「やっと追いついたぜ。」
息を乱しながら追いついた星矢が瞬に声をかけた。
「氷河、氷河がいないの。」
瞬はひどく取り乱していた。
「あいつなら大丈夫だよ。きっと真っ先に逃げているって。」
「でも、もし、もしも怪我してて動けないんだったら……」
「そんな、まさか。次が来るかもしれないからここを離れよう。」
次がいつ来るかはわからない。安全な所へ避難せねばならなかった。

「そんなの、できない!」
瞬は星矢の静止を降りきると、いつ崩れるやも知れぬ駅へと駆け込んでいった。
「瞬!!」
後に残された星矢にはなす術がなかった。






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