和平の使者と聞いて、氷河を歓待してくれたアイルランドの王は、けれど、姫を一人欲しいという和平の条件を聞いて、少し困惑したようでした。 ついこの間まで、戦ばかり仕掛けてきた好戦的な国に大事な姫を嫁がせることに、アイルランドの王が不安を抱くのは当然のことでしょう。 戦いを仕掛けているのがアイルランド側なのなら、嫁がせる姫は人質にもなり得ますが、仕掛けられる一方のアイルランドが姫を送るということは、単に生け贄を差し出すだけのことにもなりかねません。 その上、コーンウォールの王は、戦好きの女嫌いで通っていました。 アイルランドの王が二つ返事で承諾できない心情も、氷河には納得できたのです。 考える時間をくれと言うアイルランドの王に、氷河は軽い気持ちで頷きました。 「コーンウォールの者たちは喧嘩早いですが、皆、気のいい連中ばかりですよ」 と、さりげないフォローを入れて。 |