瞬が氷河を避けるようになってから1週間ほどが過ぎた、ある日の午後のことだった。
ふいに氷河が、瞬の側にやってきて、無言で一枚の紙切れを瞬の手に押しつけてきたのである。

嫌われている相手から何かを受け取ることが不愉快で、瞬は、口をへの字に結び、それを氷河に突き返した。

氷河が、その青い瞳を大きく見開く。
しばし無言で瞬を見詰めていた氷河は、それから、微かに眉をひそめて、部屋を出ていった。

瞬に渡そうとした紙片を、床に取り落としたままで。





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