ヒョウガは、自身の不運を嘆きました。
卑怯なオイノピオンを呪い、こうなる遠因を作ったアテナをさえ恨みました。
盲いてしまっては、もうメロペ姫の姿を見ることはできません。
姫の愛を手に入れることができたとしても、姫を守ってやることすらできないではありませんか。
見知った者とてない異国の浜に打ち捨てられて、故国に帰る術も見い出せず、ヒョウガは、穏やかな潮風の中で幾度も、憎しみと絶望に交互に襲われ続けたのです。
ただ、ヒョウガは、自分の不幸をメロペ姫のせいだと考えることだけはしませんでした。
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