僕は、こうなる以前は、ずっと氷河が恐かった。

彼の目が恐かった。
僕を凝視する、あの冷たくて熱い眼差しが、とても。
氷河の視線を感じるたびに、居心地が悪くなって、自分が悪いことをしているようで、仕方がなかった。

氷河のあの視線は、あまりに強い力を有していて、目を閉じていても感じられるほどだった。

それが――どういうわけか、視力を失った途端、僕にはそれが感じられなくなった。
氷河が僕を見ていることはわかる。

でも、あの刺すように痛い眼差しじゃない。
優しくて柔らかい視線。

それは、僕にはとても心地の良いものだった。






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