「瞬」
瞬の部屋のドアの前に行って、俺は瞬の名を呼んだ。
「瞬、いるんだろう?」

ネビュラストームの名残りで、瞬の部屋のドアや廊下の壁には、幾つもの亀裂が入り、かなり悲惨な状態になっている。
だが、屋内でネビュラストームが発せられたにも関わらず城戸邸が崩壊していないところを見ると、瞬はそれでも少しは手加減してくれたんだろう。

「瞬、すまなかった。頼む、ここを開けてくれ」
瞬の部屋のドアは指1本で開けられそうな様相を呈していたが、まさか瞬の断りを得ずに、中に押し入っていくわけにもいかない。

俺にできるのは、我ながら情けなく響く声で、瞬の名を繰り返し呼ぶことだけだった。






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