「阿呆!」
「人間、正直なのがいいとは限らんとゆーに!」
「貴様等こそ、もう少しマシなことが言えなかったのかっ!」

あとに残ったのは、固く結ばれた友情が売りの青銅聖闘士たちの、醜い仲間割れだった。


ひとしきり罵り合ってから、その行為の無益さを悟った3人が、脱力しきってソファに身を沈める。

「喉渇いたよ〜……」
そして、響く星矢の情けない声。

あくまでも、自分で飲み物を用意しようとしないあたりが、もしかすると、星矢なりの男らしさなのかもしれない。
こういう男らしい男が、やがて、仕事以外のことは何もできない亭主になって、定年後には妻に“濡れ落ち葉”と見くだされることになるのかもしれなかった。

男らしいのも、なかなか問題ではある。






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