いつまでも終わらない氷河の愛撫と繰り返される交合のために瞬が気を失ってしまってからも、氷河は瞬を離さなかった。
炎が、飲み込めるものを全て飲み込み燃やし尽くしてしまわなければ消えることができないように、瞬がそこにいる限り、その身体を抱きしめていなければならないという、強迫観念にも似た思いに、氷河は捕らわれていたのだったかもしれない。

だから、彼が瞬を貫くのをやめたのは、おそらく彼が手を伸ばした先に、瞬の身体がなくなった時だったろう。
それがいったいいつだったのかを、氷河は憶えていなかったが。


氷河が目を覚ました時、そこにいたのは、実体を伴わない幻影のような瞬だった。

“それ”は、愛撫する相手を見失って眠りに落ちた氷河を、無言で長いこと見詰めていたらしい。

「瞬……?」
覚醒半ばで、それでも瞬を捕まえていようとして伸ばされた氷河の指は、“それ”に触れることができなかった。

枕許に立つ瞬の腕を、氷河の指はすり抜けた。






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