バビロンの都には、屋上屋を積み重ねたような8階建てのナブ神の神殿が、ピラミッドのように、街を圧して建っていた。 下の階層の周囲をまわって坂道のように昇りつめた最上階には、壮麗な神殿が作られており、その中には豪華な寝具で覆われた大きな寝台が備えられ、傍らには黄金の卓子が置かれている。 この神殿には偶像は全く見当たらず、夜分、人がそこに近付くことは禁じられていた。 が、ただひとり、天と地の調停者ナブ神が、全バビロニアの女性の中から選んだ少女だけは別である。 夜になるとナブ神がこの神殿を訪れ、彼のために用意された寝台に眠る。 ナブ神と共に寝台に横たわる少女は神の配偶者であり、死すべき人間と交わりを結ぶことはできなかった。 |