城戸邸に、アテナ以外の女神の姿があった。 狩猟と純潔の女神・アルテミス。 月神セレネーと合一され、月の女神としての神格をも備える、オリンポス12神の1柱である。 翌年の『劇場版 聖闘士星矢』での共演が決定し、その挨拶にと、わざわざアルテミス自ら、アテナの許へと足を運んでくれたのだった。 「あら、あそこにいるのは、あなたの聖闘士たち?」 アルテミスの来訪は、敵情視察を兼ねていたのかもしれない。 彼女は、通された客間のバルコニーから、城戸邸の広い庭を眺めながら、沙織に尋ねてきた。 深まる秋が、城戸邸の庭の木立から、色づいた葉の半分以上を大地に散らしてしまっている。 その木々の間に、ふたりのアテナの聖闘士の姿があった。 その時、アテナ沙織は思ったのである。 『氷河のど阿呆が、よりにもよってこんな時に何してけつかるねん!』 ──と。 |