どこから飛んでくるのか、身に着ける本人も知らない聖衣を身にまとい、星矢と紫龍は自らの小宇宙を全開にした。

敵の狙いは当然アテナなのだろう。
名前も名乗らない敵集団の邸内への侵入を阻止するため、星矢と紫龍は、彼等を巧みに城戸邸の庭へと誘導した。

誰の差し金でアテナを襲撃してきたのか、微弱ながら小宇宙らしきものを感じさせる敵集団は、しかし、すこぶる機嫌の悪かった星矢の、ちょうどいい八つ当たりの的だった。

「星矢、紫龍、ごめ……今、行くから!」
薄いブラウスを一枚羽織っただけの瞬が、ベランダから星矢たちに声をかけてくる。

「あっ、ばか、おまえは引っ込んでろっ!」
星矢は、敵の鳩尾みぞおちに蹴りを入れながら、瞬を怒鳴りつけた。
今、瞬に出てこられては困るのだ。

星矢のその必死の声を受けた瞬が、室内にいるらしい氷河を振り返る。
「氷河、氷河、そんな呑気に構えてないで、早く星矢たちを助けてあげてよ!」
「あの程度の奴等、星矢ひとりで十分だろう」
「そういう問題じゃないでしょっ!」

「氷河の助太刀なんぞ、いらんわーっっ !! 」
星矢の小宇宙が、宇宙開闢のビッグバンなど物の数ではないほどの迫力で大爆発する。


「ごめんね、星矢。ごめんね、紫龍」
ベランダで泣きべそをかいている瞬に、
「いいから、おまえは寝てろって。もう、終わるし」
――と言いながら、星矢は最後の敵をぶちのめした。






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