「あー……」
のそのそと起きあがった某牡牛座の聖闘士が、横にいたムウにぼそぼそと尋ねる。
「アンドロメダは、つまり、愛と快楽のためにヤりまくっていると言ってるんじゃないのか?」

「基本中の基本ですね。星矢も我々も、まず最初にそれを確かめるべきでした」
ムウが独りごちるように言い、
「うむ。基本は何より大事だぞ」
事の経緯を正しく理解しているのかどうかも怪しいアイオリアが首肯する。

「不肖の弟子に、こんなことを言ってくれる相手が現れる日が来ようとは……」
彼等の傍らでは、氷河の師が、弟子の恋人の言葉に感激して、男泣きに泣いていた。

不肖の弟子呼ばわりにむっとしつつも、氷河は、彼の師に物言いをつけることはできなかった。
瞬の目と口と手が恐かったからである。


ともあれ、結局、見事に瞬に毒気を抜かれてしまった黄金聖闘士の面々は、氷河へのお仕置きを諦めてギリシャに引き返さざるを得なくなった。

未練たらたらのミロを、
「日本を発つ前にトルコライスをおごってやるから、ここは引き下がれ」
となだめながら、彼等は彼等の居場所へと帰っていったのである。






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