「氷河って、時々ものすごーく変だよね……」
銀色のマスクをつけた氷河が得意満面でラウンジを出ていってから数分後、なんとか気を取り直した瞬は、異様な疲労感に襲われながら、全く抑揚のない声で呟いた。

「その変な男とくっついてるおまえは何なんだよ」
星矢が、瞬以上の疲労感を漂わせて、突っ込みを入れてくる。

「はは、ほんと、僕っていったい何なんだろ……はぁ……」
瞬にも、その答えはわからなかった──というより、瞬はわかりたくなかった。

そして、瞬が氷河の類友なのだとは思いたくなかった星矢と紫龍も、この件に関しては、無理に、『瞬は、おそらく、自分にないものを氷河に求めているのだ』と思うことにしたのである。

「いいのか、あれ、外させなくて? 氷河の奴、どこからどう見てもアヤしい変質者だぞ」
「せめて、サングラスくらいにしてくれればいいのに、どうして、ああいう奇抜なこと思いつくんだろ、氷河ってば」

目を見れば氷河の股間がわかる瞬にもわからないことが、星矢や紫龍にわかるはずもない。
氷河の思考回路に関しての考察も、星矢と紫龍は早々に放棄した。
ただ、彼等は、これからはあまり氷河には関わらないことにしようと、今更なことを決意することだけは忘れなかった。






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