氷河の股間隠しは徹底していた。 彼は、食事の時も外出する時も、瞬が側にいる時もいない時も、決してその仮面を外そうとはしなかった。 瞬たちはまもなく知ることになったのだが、氷河が着用しているそのマスクは、某ロボットアニメ番組で、とある敵方金髪キャラが愛用しているもの──つまりは、アニメのキャラクター・グッズ──らしかった。 しかも、そのキャラは、ファンの間では“変態仮面”という異名がつけられているらしい。 氷河は、外出するたびに、公道で出会う子供たちに、 「変態仮面だーっ!」 と指を指されて笑われているらしかった。 それだけならまだしも、そのキャラのやおいファンの女性には、 「一緒に写真撮らせてください〜」 とねだられることさえあるらしい。 『らしい』『らしい』『らしかった』と、推定の助動詞ばかりが続くのは、もちろん、その仮面をつけた氷河との外出を、瞬が断固として拒み続けたせいである。 瞬にしてみれば、それは、自然当然必然の、我が身を守る防御策だった。 |
■ 仮面の図は、こちら。
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