「まー、なにも、そんな深刻になることないんじゃないか? 瞬が氷河を好きでいることなんて、俺でも気付いてだぜ。だから、氷河の嘘をバラさずにいてやったんじゃん」

瞬が、自分の嘘を嘘と知りつつ、受け入れていたということに驚愕して、氷河は肝心の瞬の告白の意味を理解できていなかった。
「──瞬が俺を?」
星矢に言われて、氷河が、まるで寝耳に水のことを聞かされでもしたように、改めて驚く。

氷河の反応の鈍さに、星矢は焦れるように舌打ちをした。
「おまえたちはさ、瞬はともかく、氷河までがさ、相手のこと心配しすぎなんだよな。んなこと言ったら、言った相手を困らせるに違いないって思い込んで、いつまでもぐじぐじしててさ。俺、そういうのうっとおしくてヤなんだ。イライラしなくて済むから、おまえたちにはこのままくっついててほしいと思ってたぜ」

「…………」
星矢経由で、その事実を知らされた氷河が、瞬の上に視線を戻す。
その視線の先で、瞬は所在なげに瞼を伏せていた。






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