昔々のずっと昔から、いがみ合い批判し合いつつ、並立してきたアクエリアス家とアンドロメダ家。
なまじ大きな事件も問題も起きなかったことがあだになり、両家は、これまで、二つの家の対立を解消しようという動きがないままに存続し続けてきました。

けれど、今。
アクエリアス家のカミュとアンドロメダ家のアルビオレの代になって、両家の間に非常に深刻な問題が生じることになったのです。
その問題というのは、他でもありません。彼等の弟子たちにありました。
アクエリアス家のカミュの弟子の氷河と、アンドロメダ家のアルビオレの弟子の瞬は、実は恋人同士だったのです。

ふたりがどんなふうに知り合って、どういう経緯でそういう仲になったのか。そんなことはこの際問題ではありません。
たまたま二人が修行のために身を寄せた先が、犬猿の仲のアクエリアス家とアンドロメダ家だっただけ。

厳しい修行の間をぬって 逢瀬を重ねるだけでも大変なのに、もし二人の逢引が他人に知れることになったら、彼等の師匠たちがどんなに激昂することか。
激昂するだけならまだしも、どれほど落胆し、失望することか。
そんな事態を想像するだけで、氷河と瞬の胸は痛みました。
そんな状況の中で逢引を重ねていれば、神経も磨り減るというものです。

けれど。
それでも会わずにいられないのが恋人同士というものなのでした。






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