もちろん氷河は見事に目標を達成しました。
そして、やってきた悲しい別れの時。

人目を忍んでいるわりには堂々とラブホテルの門の前で、二人の恋人たちは再び耐えなければならない離れ離れの時を嘆くのです。

「瞬……今度はいつ会えるんだ……?」
「今日こそは、解決方法を真面目に話し合おうと思ってたのに、また××しちゃった……」

しょんぼりと肩を落としている瞬に、氷河としては、
「ははははは。……すまん」
と、笑って許しを乞うしかありませんでした。

けれど、これは笑い事ではありません。
ほとばしる若さを抑制する術を覚えなければ、二人はいつまでも忍ぶ恋を続けなければならないのです。
とはいえ、若い激情を抑えることは、二人にとっては、アクエリアス家とアンドロメダ家の和解を画策することよりも至難のわざ。

そんなわけで、氷河と瞬は、人目を避けて会うたびに、解決の糸口を見付けられないまま、それぞれの家に帰るのが習慣になっていたのです。


それでも、二人はそれなりに幸せでした。
恋というものは、障害があればあるほど燃えあがり、燃えあがれば燃えあがるほど楽しいものですから。






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