さて、それから2年後のことです。 南の国の王室に、一人の王子様が生まれました。 名前を瞬王子といいます。 南の国に咲いているどんな花よりも可愛らしい顔立ちをした、それはそれは愛くるしい王子様でした。 南の国の王様は、可愛らしい王子の誕生を喜んで、早速、瞬王子の出生の祝いの宴に妖精たちを招く準備を始めました。 氷河王子が生まれた時に、北の国で、北の国の王様がそうしたように。 その話を聞いた北の国の王様は、南の国の王様が自分と同じ過ちを犯さないように、親切な忠告の手紙を南の国の王様に出したのです。 北の国の王様は、手紙とは別便のクール宅急便で、たくさんの毛ガニとタラバガニとズワイガニも送りました。 南の国ではあまりいいカニが獲れないことを、北の国の王様はよく知っていましたからね。 南の国の王様は、北の国の王様の親切に大層感謝し、そして、大変に感動しました。 自分が不運に見舞われた時、他の人も不幸になってしまえばいいと望む人間は少なくありません。 なのに、北の国の王様はそんな下劣な考えを持つことをせず、よその国の見知らぬ赤ん坊のために、深い思い遣りを示してくれたのです。 南の国の王様は、北の国の王様の高貴で優れた人間性に大感動してしまったのでした。 もちろん、北の国の王様の忠告を 特に、北の国で氷河王子にとんでもない祝福を与えたカニ好きの妖精は、おいしいカニ料理に大変満足し、特別の祝福を瞬王子に授けてくれたのでした。 妖精たちを招いた祝いの宴を無事済ませた後、北の国の王様の人徳に感じ入っていた南の国の王様は、彼の親切へのお礼を北の国に送りました。 山ほどのココアやコーヒー、ダイヤモンドや金と一緒に、なんと生まれたばかりの瞬王子まで。 南の国の王様の贈り物には、 『あなたのおかげで、この子は特別の祝福を得ることができました。幸い、私には、既に跡継ぎの王子がいますから、この子をあなたに差し上げます。きっと、この子は、あなたのご子息に幸福をもたらすことでしょう』 という手紙が添えられていました。 |