瞬王子の甘い寝息に耳をふさぎ、瞬王子の清らかな寝顔を視界に入れないように目を閉じて、いったい何時間、氷河王子は苦悶の時を過ごしたでしょう。 まもなく夜が明けるだろう──という頃になって、氷河王子の中には、ある一つの考えが浮上してきたのです。 もうすぐ、新しい一日の太陽が地上に姿を現します。 朝日が昇ったら、その時には、めでたく××解禁になるわけです。 その時、少しでも早くデキるように、準備万端整えておいた方がいいのではないかという、 氷河王子はもう、いつでも準備万端出撃するだけの状態でしたが、瞬王子の方はそうではありません。 立場の相違もあって、××の事前の準備には、自分より瞬王子の方が時間がかかることを、氷河王子は知っていました。 その事前準備を怠ると、瞬王子の身体への負担が大きくなることも、氷河王子は承知していたのです。 「何もしないで待っていると、時間の過ぎるのは実際より長く感じられるものだ。時は金なり、有効利用しなくては」 勝手な理屈をこねて、氷河王子は掛けていた椅子から立ち上がり、再び、瞬王子の眠るベッドの側に歩み寄りました。 手を伸ばして、そっと、その肩に触れます。 一度触れたら、瞬王子のやわらかい肌は、氷河王子の手を離してくれませんでした。 ゆっくりゆっくり、瞬王子が目覚めないようにそっと、氷河王子は、瞬王子の肩にかかる髪を脇によけました。 白い短衣の裾をたくしあげて、まだ一度も見たことのない秘密の場所に、指を忍ばせます。 そして、少しずつ少しずつ、ゆっくりじっくりねっとりたっぷり、氷河王子は瞬王子の身体を刺激する行為を開始したのです。 (もうすぐ、俺のものだ。もう少しすれば、瞬は俺のものになる──) 逸る心を抑えているのか、けしかけているのか、そのどちらにもとれる言葉が、氷河王子の頭の中を駆け巡り続けます。 そうして、やがて。 ついに、その時はやってきました。 瞬王子の寝室の窓が朝の白い光で覆われる時が、ついにやってきたのです。 |