ちょっと前置きが長くなってしまいましたね。
ここで、簡単にまとめておきましょう。

オロシヤ国には、まず、王位継承を巡って、氷河王子擁立派と瞬王子擁立派という二大派閥があります。
それから、ほもの形態に関して、氷河王子攻め派と氷河王子受け派、瞬王子攻め派と瞬王子受け派があります。
もちろん、氷河王子ノーマル派や瞬王子ノーマル派もいましたが、それは、二人の王子様のお后様になれるくらい身分の高い貴族の妙齢の令嬢たちに限られていましたので、どちらかといえば少数派。
氷河王子攻め派と氷河王子受け派、瞬王子攻め派と瞬王子受け派が、ほもに関する4大派閥と言っていいでしょう。

それだけなら簡単に覚えられる、テストも100点間違いなし、なんて油断してはいけません。
この4つの大分類は、更に細かな小分類から成り立っているのです。
すなわち。

氷河王子攻め派には、氷河王子の受けのお相手として、氷河王子のお小姓、某子爵家のご令息。
氷河王子受け派には、氷河王子の攻め役として、某陸軍大臣、某公爵様。
瞬王子攻め派には、瞬王子の受けのお相手として、瞬王子のお付きの者、某侯爵家のご令息。
瞬王子受け派には、瞬王子の攻め役として、某近衛隊隊長、某伯爵様、等々。
そこに、玉の輿を狙うノーマル派の令嬢たちが絡んでくるのです。

しかも。
氷河王子攻め派には、オロシヤ国あくたぎゃわ賞受賞作家、
氷河王子受け派には、オロシヤ国冗談社漫画賞受賞作家、
瞬王子攻め派には、オロシヤ国賞四科展絵画部門入賞常連画家、
瞬王子受け派には、オロシヤ国にゃおき賞受賞作家、
等、錚々そうそうたる顔ぶれの推進者たちがいて、それぞれに精力的な活動を展開していました。

こうなるともう何が何だかわかりませんが、とにかくオロシヤ国は派閥だらけ、氷河派瞬派攻め派受け派が入り乱れて、とんでもない状態になっていたのです。
違う派閥に属する者たちが、酒場で喧嘩沙汰を起こしたり、舞踏会で壮絶な嫌味合戦を繰り広げたり、軍隊の中で決闘騒ぎがあったりなんてことは、日常茶飯の事でした。






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