俺を甘やかしてしまったことを、瞬は後悔したかもしれない。 薬の力でもなく、長いお預け期間のせいでもなく、妙に優しくてどこか妖しい瞬のせいで、俺はその夜瞬に、獣の方がずっと紳士的だと思えるようなことをしてしまった。 瞬に言わせれば“乱暴なこと”を、俺はしたんだろう。 「瞬、大丈夫か?」 それでも、瞬の中に入るたびに、俺は瞬に訊いた。 「氷河は気持ちいいの?」 「俺は当然だが」 瞬はそうじゃないはずだ──。 だが、それも、俺の勝手な思い込みだったんだろうか。 「なら、僕は、氷河の100倍気持ちいい」 言葉でだけは優しい俺に身体の中を乱暴にかきまわされている瞬は、まるで夢見るようにうっとりした表情で、その腕を俺の首に絡ませてきた。 俺が瞬のせいで獣じみてしまうことにすら、瞬は喜び酔っているようだった。 「僕だって、実際に氷河とこういうことするまでは、これは痛いだけのことなんだろうって覚悟してたんだから。──でも、そうじゃなかった……ああっ!」 自然に浮いてくるらしい瞬の腰をシーツの上に押し戻すようにして、俺は更に深く瞬の中に自分を押し込んだ。 薬のせいじゃない。 瞬のせいだ。 瞬にそんな可愛いことを言われたら、俺はますます乱暴になるしかないだろう。 だから、実際にその通りにしたんだ。 瞬は、俺の 終始陶然として、瞬はその手足を俺に絡みつけようとしてくる。 瞬はやわらかくて、白く、温かい。 そんなふうに瞬を抱いているうちに、やがて俺は、俺の方が瞬に犯されているような錯覚に陥っていた。 事実もそうだったんだろう。 瞬の身体こそが、俺にとっては媚薬そのものだ。 俺は、そのまま瞬に飲み込まれた。 |