今年も残すところ あと5、6時間。 まもなく新しい年を迎えようとしている城戸邸ラウンジで、瞬は頬を真っ赤に染めていた。 羞恥のため、というのではない。 怒りのために、である。 瞬は、星矢たちの前で怒髪天を突いていた。 「じゃあ、星矢と紫龍はっ! 僕が、年明けから氷河とあ……あんなことをしたいしたいって騒いでたんだと思ってたのっ!」 「ち……違うのかよ……」 「違いますっ!」 怒りに任せてネビュラストームを引き起こさないのが不思議なほどにきつく右の拳を握りしめて、瞬はきっぱりと星矢の推察を否定した。 「だいたい氷河なんて、大晦日にはいつでも、年越し××しようって言って、除夜の鐘がなり始める頃から年が明けるまで、僕のこと離さないのに、この上新年から張り切ってあんなことされたら、僕が壊れますっ!」 あの氷河と同じだけしている瞬が、それくらいのことで壊れるはずがないと、星矢たちは確信していたのだが、ここでそれを口にするほど彼等は愚かではなかった。 口にしなくて正解だったろう。 もし彼等がそんな愚行に及んでいたら、彼等は新年を迎える家を失っていたに違いない。 「……じゃあ、姫初めってのは……」 恐る恐るお伺いをたてた星矢の前に、瞬は、そんなことも知らないとは日本人として情けないと言わんばかりの顔をして、年中行事冠婚葬祭事典のとあるページを彼の前に広げた。 そこには、
──と記されていた。 |