困った時の神頼み──と俗に言う。
アテナの聖闘士たちの神は、明治神宮にも川崎大師にもいない。
人間失格の危機に瀕して神頼みに出た星矢たちに、彼等の神は、実にほがらか かつ 軽快な笑い声を、まず与えてくれた。

「まあ、愉快なことになっているのね。いいわ。明日の元旦には、城戸邸ここで盛大に餅つき大会をしましょう」
その提案を聞いた彼女のしもべたちは、智恵の女神の知恵もその程度かと、かなり落胆したのである。

「餅をつくのは結構ですが、問題は、その餅をいかにして氷河に食べさせるかということなんです」
「どうにかしてくれよ、沙織さん。瞬が怒ってると、恐いんだよ」
「大丈夫。私にお任せなさい」

星矢と紫龍の神は自信ありげに頷いて、その場で辰巳に餅つき大会の準備を命じたのだった。






【next】