城戸邸に帰って、瞬は早速インターネットで調べてみたのである。
氷河が購入した、その雑誌の内容を。

瞬の予想通り、『出会い系チェリーボーイ』は、教育委員会に喜ばれる種類の雑誌ではないようだった。
雑誌の出版社は公式サイトを持っていたし、一般の書店に並ぶのだから、完全なアングラ雑誌というわけではなく需要もあるのだろうが、決して大衆誌ではなく、陽性の雑誌でもない。

ともあれ、氷河が購入したその雑誌は、言葉を飾らずに言うと、同性愛者が自分のパートナーを見つけるための情報誌だった。
誌面の一部がWEB上で公開されていたが、そこには、どう見ても18歳未満の中高生としか思えない未成年者たちの写真が並んで表示されていた。

雑誌の購入者は、その写真を見て、気に入った相手のメールアドレスに連絡を入れる。
そのアドレス自体は出版社の方で準備しているものらしく、自動的に当人の携帯電話に転送される仕組みになっているらしい。
システム説明のページの下に、
『利用者のプライバシー保護には万全を期しておりますので、安心してご応募ください。ただし、本誌に掲載できるのは、年齢18歳以上の応募者に限ります』
という白々しい ことわり書きが記されていた。

『古風な趣向を好まれる方には、弊社経由での手紙の転送も承ります』と、至れり尽くせりの雑誌ではあった。






【next】