気がつくと氷河のことばかり考えている自分に、瞬は気付いていた。 失恋した相手であるはずの星矢の顔を見ても胸が痛まない。 星矢に話しかけられても、以前のようにどきまぎしない。 そして星矢の側にいても、瞬はこれまでのように楽しい気分にもなれなかったのである。 星のような雪と雪のような涙、その雪の中で見た、氷河の青い瞳とつらそうな表情だけが、今の瞬の心の大半を占めていた。 あの夜の氷河の様子を思い出すほどに苦しく、胸が締めつけられる。 だが、その訳を尋ねれば、氷河をますます傷付け苦しめてしまいそうで、結局彼に話しかけることもできないまま、瞬は日々の過ぎていくのを耐え続けた。 「あの二人、いったいどうしたんだ。氷河の奴がついに告白して玉砕したのか?」 傍目にはあまり変わらない二人の様子が、それでも以前とはどこかが違うことに気付いた紫龍が、怪訝そうな顔を星矢に向けてくる。 まさかそこに自分が絡んで三角の形を形成しているのだなどということは、星矢には到底言えることではなかった。 |