ある日、ある闘いの中で、僕は致命傷を負った──と思った。
でも、僕は死ななかった。

僕が得た傷は、氷河が負ったそれより深く大きな傷だったのに、その傷口はあっという間にふさがって、血を流すのをやめてしまったんだ。
一時とはいえハーデスの依り代だった時の影響が残っているせいだろうかと疑いもしたけど、そうじゃないことは誰よりも僕自身が知っていた。
今 僕の心と身体を支配しているのは僕だけだという確信が、僕の中にはあった。






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