魔法使いのカミュは、その頃には、ヒョウガに自分のいたずらを反省したかどうかを問うことはしなくなっていました。 『ごめんなさい、もうしません』を100回言うように命じることもしなくなっていました。 半年に一度洞窟にやってきて、ヒョウガを氷の棺から解放し、1時間だけ自由時間を与えてその場を去り、1時間後に戻ってきて再びヒョウガを氷の棺の中に閉じ込める――。 カミュは、ただの決まり事か儀式のように、それを繰り返すだけ。 ヒョウガとシュンのことに、カミュが気付いていないはずはないのですが、武士の情けとでも思っているのか、彼はその件については何も言いません。 シュンは不思議でなりませんでした。 カミュがヒョウガに、『今度こそ反省したか』と尋ねないことも、たった一言『反省した』と言えば自由をその手にできるはずのヒョウガが、決してカミュにその言葉を告げないことも。 シュンにわかっていることはただ一つ。 自分がヒョウガを好きで好きでたまらないということだけだったのです。 |