そうして、半年後。
シュンは、アルビオレに帰国の許可をもらって、半年振りに北の国に帰りました。

北の国は夏。
真夏のお陽様の力を受けて眩しく輝く緑の森を通って、これまで十数年間そうしてきたように、シュンはヒョウガのいる魔法の洞窟に向かいました。
これまで十数年間そうしてきたように、カミュが氷の棺からヒョウガを解放し、
「では、1時間後に」
と短く告げて、恋人たちの前から姿を消します。

「シュン……!」
「ヒョウガ!」
星の通路に響くカミュの足音が聞こえなくなると同時に、ヒョウガとシュンは互いの名を呼んで固く抱きしめ合いました。

二人とも、話したいこと聞きたいことが山のようにあったのですが、半年振りに抱きしめ合った途端、互いの懐かしい温もりに夢中になって、二人はそれを求め合いました。
特にシュンは、その胸に固い決意を秘めていましたから――そして、その決意の中には、自分たちがこうして抱きしめ合うのは これが最後になるかもしれないという不安も含まれていましたので――それを求めずにはいられなかったのです。

「そんなにこれが好きなのか?」
シュンの中にそれを収めたまま、からかうように尋ねてくるヒョウガに、言葉では何も答えず、シュンはヒョウガの肩に置いていた指先に力を込めました。






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