『永遠にあなたのもの』
それは、ヒョウガこそがシュンに言いたい言葉だった。
そして、シュンに言われたい言葉だった。
二人のためにある その言葉を、どこぞの得体の知れない神が、シュンを呪縛する手段として用いているのである。
ヒョウガの怒りは抑えようがなかった。

シュンの胸許にある白金の輝きを忌々しく思いながら、ヒョウガはシュンに尋ねた。
「正体もわからない神なんかより、俺のものになる方がいいと思わないか?」
「え……?」

昨日と同じように、シュンは咲き乱れる花の中にいる。
だというのに、明日の夜には、この庭からシュンの姿は消えてしまっているのだ。
どれが花で どれがシュンなのかわからないようなこの光景を、ヒョウガは 二度と見ることができなくなる。
そして、今はまだここに咲いている花は、ヒョウガに希望を抱かせるような答えを返してはくれなかった。

現在のシュンの立場を考えれば、それがシュンのシュンなりの誠意なのだということがわからないヒョウガでもなかった。
が、無言で花弁を項垂れてしまったシュンに、ヒョウガは、苛立ちを通り越して激しい憤りを感じてしまったのである。
「おまえは、おまえがこの世から消えうせても悲しむ者がいないと思っているのか」
シュンが頷くような気がして、ヒョウガはすぐに言葉を続けた。
「おまえがいなくなったら、俺は泣くぞ。盛大に泣いてやる!」
「ヒョウガ……?」

恋に慣れた者でも、それが恋情の吐露だとは すぐにはわからなかったに違いない。
まして、恋という概念さえ知らずにいるようなシュンに、ヒョウガの気持ちが通じるはずがなかった。






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