返信を待たずに 手紙を書きます。 ナターシャから、手紙が届きました。 送ってくれたのは紫龍だったが――紫龍が ナターシャの“おてがみ”を届けてくれた。 マーマがパパ以外の男からのラブレターを嬉しそうに読んでいるので、パパが不機嫌らしい。 (と、一筆箋に、紫龍の解説がついていました) 送られてきたのは、『ごきげんななめなパパ』の絵。 『マーマを、パパとナターシャから とらないで』だそうです。 マーマって、誰ですか! 誰なんだ、本当に! わかっているんですか! あなたは、おそらく現役黄金聖闘士最強、この地上世界で最も強い男だ。 それが、マーマ !? それで、あなたは平気なんですか! 寛容なのにも、限度がある。 どうせ氷河の入れ知恵でしょう。 あなたは、氷河の身勝手を許しすぎだ。 氷河を甘やかしすぎ! どうして、どいつも こいつも そうやって氷河を甘やかすんだ! あなたも、紫龍も、星矢も、結局は氷河の我儘に折れて、氷河のやりたい放題を許す。 アテナですら、そうだ。 教皇だって、結局、氷河の育児なんていう無謀を、無謀のまま完全放置。 一輝に至っては敵前逃亡! 氷河に関わって、自分のスタイルを崩される事態を避けたい一輝の気持ちは 痛いほどわかるが、男には、それでも戦わなければならない戦いというものがあるはずだ。 最愛の弟が、氷河の娘にマーマと呼ばれているっていうのに、一輝はどこで何をしているんだ! 一人で安全なところで、ゆったり温泉につかり、温泉たまごを作っているんだったら、俺は一生 一輝を許さないぞ! あんな おてがみを受け取るくらいなら、俺は、あの人と死闘を繰り広げている方が ずっとましだ! その方が はるかにずっと、余裕で平常心を保っていられる。 俺に、戦う決意をさせてくれて ありがとう。 感謝してもしきれないので、感謝はしない。 聖域にて
貴鬼
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