三ツ星学園に、外国の映画に出てくるスターみたいにカッコいい人と綺麗な人がやってきて、学園内が大騒ぎになったのは、その次の日だった。 外国の映画なんて ちゃんと観たことはないけど、みんなが そう言ってたから、きっと そうなんだろう。 日本中の児童養護施設に天球儀を贈ったグラード財団の いちばん偉い人の友だちなんだって。 黒くて大きな車でやってきた二人は、すごく綺麗でカッコよくて、おしゃれで、学園の子供たちより、先生たちの方が 慌てて、どたばたしてた。 二人は、グラード財団のいちばん偉い人に薦められて 三ツ星学園に来たとかで、それで、 「七生ちゃんを、私共で引き取りたいのです」 って、園長先生に言ったんだって。 先生たちは、私が“変な子”だってことは話したらしいけど、二人の気持ちは変わらなかったんだって。 呼びにきた先生に連れられて応接室に行った私は、すごく綺麗でカッコいい二人にびっくりした。 私は“変な子”なのに、これは何かの間違いだって思った。 でも、小さい方の綺麗な人に、 「僕たちが誰なのか、わからない? 氷河の金髪は憶えているでしょう?」 って 言われて、この綺麗でカッコいい二人が、大きくなった小人さんたちだってことが わかったの。 もう会えないんだって思ってたのに。 パパとマーマは 私に気付かなかったんだって 思ったのに。 「氷河が 『早く行こう、急いで行こう』って せっつくから、急いで迎えに来たんだよ」 「パパが……」 パパには わかったんだ。 マーマにも わかってたんだ。 ナターシャ自身、今の今まで 忘れてたのに。 「パパーっ !! 」 私は すべてを思い出した。 |