6月の朝の陽射し。 それは、真冬のそれのように頼りないものではなく、 真夏のそれのように乱暴でもない。 秋の清涼とも、春の気怠さとも違う。 暖かく、明るく、優しい、だが、やがて訪れる夏の激しさの片鱗をも隠し持つ6月の朝の陽射し。 6月の朝は、春の朝でも夏の朝でもない。 6月の朝は6月の朝。 それ以外に言いようがないのだ。 氷河にとって、それは特別な日の特別な朝だった。 特別な日になったのである。 今日、たった今から。 横に瞬が眠っている。 夕べはカーテンを閉じることにさえ考え及ばなかった。 6月の朝の陽射しが反射している瞬の肌は、それ自体が白光そのものでできているかのように眩しく、少し乱れたやわらかい髪は、淡い緑の光の糸のようだった。 伏せられた睫毛も、シーツの上に投げ出された細い指も、6月の朝の光に縁取られている。 光の中にいる、光でできたもの。 それは、 氷河の目には、 天使のように見えた。 |