そうして、瞬は――瞬の心と身体は――ハーデスの力の片鱗と共に、神々の手によって封じ込められてしまったのである。

神々の嫉妬という、美しい水晶の棺に。



聖域の最奥。
鳥すらも滅多に訪れない、険しい懸崖の岩窟。
瞬の好きだった明るい光も、可憐な花も、春の微風さえ、この石窟を訪れることはない。



氷河が幾度呼びかけても、瞬が応えることはなかった。

光のない、薄闇だけの空間で、瞬の身にまとった白い長衣が、水晶の内反射で薔薇色に見える。
神々の嫉妬の光が、皮肉なことに、瞬を神よりも美しく輝かせていた。


堅く閉じられた瞼。
二人で戯れたその唇。

瞬の姿が美しければ美しいほど、氷河は神々が憎く、その存在が醜悪に思われた。










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