さて、次に紫龍が手に入れなければならないのは、白鳥座の聖闘士・氷河の分のアイスクリームである。

だが、これもまた、一輝のそれに負けず劣らない難問ではあった。
なにしろ、氷河は雪と氷の聖闘士、なまなかなデザートアイスで満足するとは思えない。


しかし。
天ぷら屋“竹壺”での辛い修行を耐えている間、紫龍は、氷河のアイスクリームを何にするかを抜かりなく考えていたのである。

天ぷら屋“竹壺”を後にした紫龍は、その足を迷うことなく空港へと運んだ。

彼は、氷河のために、東シベリアの永久氷壁でかき氷を作ることを考えていたのだ。
それならば、あの“瞬以外の甘いものは超苦手”な氷河も満足するに違いないと、彼は確信していた。



――というわけで。

やってきました東シベリア。

しかし、いかんせん、紫龍の小宇宙は凍気を操るのには全くもって不向きだった。

だが、義と友情の男・紫龍は諦めない。
諦めたら、その時にこそ、すべてが終わるのである。
これまでの努力すら無意味になってしまうのである。

『信じて貫けば、夢は必ず叶うのだ』

信用ならない友の言葉を信じ、紫龍は堅い決意を胸に秘め、巨大な永久氷壁に立ち向かっていったのだった。



そうして、更に三ヶ月。

尋常でなく厳しい自己修練の後、彼はついに永久氷壁をカキ氷にする技を体得したのである。







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