そして、第9の宮、人馬宮。
本来なら、サジタリアスのアイオロスが守護する宮である。

「ここは無人の宮だな」

今は、守護者のいない宮。アイオロスの遺志だけが残る宮である。
氷河は、当然、さっさとこの宮を通り抜けようとしたのだが。

「まあ、しかし、サービスだ」

彼は、無益にアイオリアのために費やした時間を、シャカ・老師・ミロとの勝負でキャッチアップできたことで、気を良くしていた。
わざわざアイオロスが残した感動的な遺言のある場所まで降りて行き、氷河は、今は亡き黄金聖闘士の遺言を石で削って、勝手に改竄したのである。

サジタリアスのアイオロスの遺言は跡形もなく消え、氷河の通り過ぎた後に残ったのは、『UMAI』の4文字だけだった。







【next】