そうして結局、氷河は、自分の浅はかさのために、カミュの組織から抜けざるを得ない状況に自分を追い込んでしまったのだった。 それはつまり、成功の報酬と同程度に保証されていた失敗の制裁から逃れ続ける日々の始まりでもあった。 瞬に知らされてしまった瞬の秘密を、氷河はどうしても余人に洩らす気にはなれなかった。 その結果引き起こされる事態で、瞬がどんな責任を取らされるのか――などということを懸念したわけではない。 氷河はただ、瞬の信頼を裏切りたくはなかったのだ。 生き馬の目を抜くようにして生きている同業者や、狡猾な目をした大人たちが相手だというならともかく、正直で一途な目をした子供に『あなたを信じています』と言われて、その信頼を裏切ることができるほど、氷河は機械にも歯車にもなりきれていなかった。 |